「古奈美姫…突然の御呼び立てに応じて下さり、感謝致します」

内務卿たる大久保が、古奈美に首を垂れる。

将軍・慶晃公亡き今、幕府生き残りのトップは古奈美のみ。

ヒノモトにおいて、古奈美と大久保は対等な立場なのだ。

「やめて下さい内務卿…私はもうこの国の姫ではありませんから…貴方が娘1人に頭を下げるものじゃないですよ」

困ったように微笑む古奈美。

「そして…」

大久保は沖田の方を見る。

「よく戻ってきてくれた、沖田。古奈美姫の警護という大役、よく果たしてくれた」

戊辰大戦の最中、大久保は沖田の上司として、様々な命令を下してきた。

古奈美の護衛も、幕府方との戦闘も、幕府要人の暗殺も…。

「まだ歳若いお前に、汚れ仕事を託し続けた事、新時代を迎えた今となっては、申し訳なく思う…」

大久保は、一介の人斬りである沖田にも首を垂れた。