「しかし」

沖田が思案する。

「東郷 隆盛ほどの陸軍元帥が、ヒノモトの南端で士族達を率いて武装蜂起…彼ならば勝算のある戦かどうかくらい、すぐに分かる筈です」

勝ち負けではない、決起する事に意義がある、と言えばそれまでかもしれない。

だが逃げ場のない南端、彼我戦力差も圧倒的。

あまりにも勝ちに結び付ける材料が少なすぎる。

陸軍元帥を務めたほどの男が、こんな状況で蜂起するだろうか。

「何か切り札があるのでしょうね…この戦局すら逆転させるほどの切り札…1枚持っているだけで政府を圧倒出来るほどの切り札を」