「佐津間の偉い軍人さんの、東郷どんって人が、士族を集めて戦をおっ始めようとしとるんよ。廃刀令っていう決まり事が、何やらお気に召さんようでねえ…」

老婆は、沖田の帯びている大典太を指した。

「ほれ、お兄さんの持っとるそういう刀を、持ち歩いたらいけんっちゅう決まりなんやけどねえ…お侍さんは、刀持っとかんと困るんやろうねえ、私にゃあ分からんけんども」

お盆で口元を隠して、笑う老婆。

「…本当ですねえ」

沖田もまた、微かに笑った。

「こんな刀、要らない時代になればいいんですけどねえ」

「俺は拳銃を持っているがな」

「ダン!」