「ねえお婆さん」

話を逸らすように、湯呑みを置いた沖田が語り掛ける。

彼も人斬り鬼としてヒノモトでは知られた身。

あまり顔は見せられないのだが。

「僕達、この異国の人にヒノモトの案内をしているんです。これから佐津間まで足を延ばそうと思ってるんですよ。今、あっちの様子はどうですかねえ?」

「あんれまあ、佐津間まで?かなり遠いよぉ?」

驚いたように目を丸くする老婆。

1300キロ以上ある道程だ。

「それにねえ…異国の人は知らんかもしれんけんども、佐津間じゃあまた戦になりそうなんよ」

「へぇ?」

気のない返事を返す沖田。

裏腹に古奈美達は顔を見合わせる。