…戊辰大戦が終結した直後のヒノモトに、廃刀令が発布された。

主に勅使河原幕府側についていた元武士の士族達に、帯刀を禁止するという法律である。

これは旧武士最後の特権を奪うものであり、士族に精神的かつ経済的なダメージを負わせた。

これを契機に、元勅使河原幕府の陸軍元帥であり、佐津間(さつま)藩出身の東郷 隆盛(とうごう たかもり)が、士族達を集めて武装蜂起。

現在、ヒノモトの南端である佐津間は内戦状態にある。

「東郷さんは、私も何度かお会いした事があります。軍人さんですけど、とても気のいい人で…何より部下想いの立派な方でした。それだけに、政府に虐げられる元部下の士族を不憫に思ったんでしょう」

伏し目がちに言う古奈美。

「で!沖田!」

リュートは沖田の顔を見る。

「お前、きっちり突っぱねてやったんだろ!そんなもんに今更古奈美を引っ張り出すな、テメェらのケツはテメェらで拭けって、啖呵切ってやったんだろ?」

「……」

「おい、何とか言えよテメェ!」

沖田の着流しの胸倉を摑むリュート。