そのせいなのか。

ティーダとタンポポの息子は、己の家族についてあまり語りたがらない。

兄や姉がいるのか、弟や妹がいるのか、名前は、出身は、その着ている衣服は地球の『カラテギ』というものなのか、剣術を扱わず無手の拳闘術で戦うが、その流儀は『チュウゴクケンポウ』なのか。

あまり多くを語ると、父や母に迷惑をかけるかもしれない。

そう考えての事なのだろう。

だが。

れっきとした勇者の一族である彼が、離宮にも住まわずにこんな荒野を歩いているのは、はっきりとした彼の意思だ。

誰に迷惑をかけるから、などという後ろ向きな理由ではない。