だが。

蛮は度々ルナの前に現れた。

現れる度に勝負を挑み、現れる度に同じパターンで敗北を喫する。

現れる度にルナに血を吸われ、現れる度に捨て台詞を吐いて立ち去っていく。

未来永劫ルナに勝つ事はないし、ヴァンパイアハンターとしての職務を全うする事はないだろうと、確信をもって言えた。

何十回目かの蛮の敗北の夜、ルナは話を持ち掛ける。

『そんな真似はやめて天神で暮らせばどうか』

人間だろうが魔族だろうが共存できるこの地ならば、ヴァンパイアハンターなどやめても生きていける。

ルナと蛮が共に笑って暮らす事さえできるのだ。