龍一郎、ティーダ、蒲公英、すず。

彼らが結ばれる中、ルナ・ツェペリの伴侶だけは語られる事がなかった。

数百年の時を生き永らえてきた真祖ヴラド・ツェペリと、ユグドラシェルの正統血統を継ぐ早川 花龍との娘、ルナ。

吸血鬼としてはこの上なき名門である彼女は、逆に言えば、討ち取ればこの上なき誉れでもあった。

種族の坩堝・天神地区とはいえ、そんなよからぬ事を考える輩もいなくはない。

ルナの見える所、見えない所で、そのような争いも度々あった。

小者であれば龍一郎やティーダ、すずで対処できた。

剛の者ならば父であるヴラドが出張る事もあった。

龍一郎一味で手に負えない強敵の時は、時に禿鷲の臥龍の力を無理に揺り動かして辛勝する事もあった。