「そ、それでは…我儘を言わせて頂けるなら…」

気を取り直して。

「僕は…大典太光世を所望致します」

大典太光世もまた、天下五剣のひとつに数えられる銘刀。

江戸時代になって試し斬りが為された事があり、試し斬り用の罪人の遺体を三つ重ねたところ、二つ目までを切断して三つ目の背骨で止まったという。

童子切安綱の『遺体を六体重ねて輪切りにした』という異常な切れ味を誇った逸話に比べるとインパクトは薄い。

が、“製作から700年経ってこの切れ味を保っていた”と考えると恐るべき切れ味といえよう。

「大典太か。なかなか目端が利く」

ニヤリと笑う真太郎。

「ならば、そのように伝えておく。すぐに真贋見極めすら出来ぬほどの瓜二つを仕上げてこよう。我が流派きってのペテン師がな」