どちらにせよ、まともな会話は期待できそうにない。

諦めてベッドに戻ろうとしたリュートに。

「ああ、そうそう」

少女は声をかける。

「闇の型…だったっけ?なかなかよかったわよ、あれ。ティグルの言う通り、重さが足りないけれど」

昼間の模擬戦の事を言っているのだろうか。

「見てたんか?」

「ええ。特等席でね」

無表情のまま、少女は頷く。

「ティグルの弟だけあるわね…ティグルには遠く及ばないけれど。精霊術を二種併用する事を考えてみなさい。闇の型の手数と相俟って、威力が増すわ」

彼女なりに、アドバイスをしてくれているのだろうか。

「…お前、いい奴だな、雄鶏絶対殺すマン」

「…本当にその名前で呼ぶのね…」

胡乱な目をする少女。