大浴場から出たリュートとティグルは、離宮からも出て、皇都からも出て、何もない荒野へと足を運ぶ。

アマリリスも同行していた。

「リュー君、傷はどうだい?」

ニコニコしながらティグルが言う。

「…湯治がよかったんかな?」

ミルトゥワに来た時はまだ動かすと痛みのあった刀傷が、すっかりよくなっている。

やはり薬草の成分と、精霊の加護もあるという薬湯は違う。

「じゃあ、ちょっとくらい遊んでもらってもいいよね?」

ご機嫌の体のティグルは。

「ティ、ティグル様っ?」

驚くアマリリスの前で、いきなりレーヴァテインを背中の鞘から抜いた。

黒い刀身、赤い紋様の入った片刃剣。

反りのあるその刀剣は、どことなく日本刀のようにも見える。