「うわー…痛そう…」

ベルがリュートの傷を見ながら言う。

「うげー…痛そう…」

リュートがベルの傷を見ながら言う。

結論、どっちも痛そう。

「マスター、若い娘がいつまでも男に肌を晒すな」

制服のブラウスを少しずらして、リュートに肩の傷口を見せていたベルに言うダンドリッジ。

「何よ、私の血を吸う時は、『マスター、項を見せろ』とか言うくせに。ダンのドエロ、マニアック」

「首筋に咬みつく時に、髪が邪魔なのだ。別にドエロでもマニアックでもない」

思うのだが、この主従関係の口論はいつも大人げない。

「まぁまぁお二人とも」

沖田が宥めながら割って入った。

「刀傷によく効く軟膏です。よかったら使ってみて下さい」

「おぅ、悪ィな沖田」

受け取ったリュートは軟膏をたっぷり傷口に塗り付ける。

「ちょっとダン!触んないで!自分で塗るわよ!ドエロ、マニアック」

「ドエロでもマニアックでもない」

やはり大人げない。