…しつこく食い下がる手勢を斬り散らし、階段を駆け上がった。

既に清光は血糊で汚れてしまっている。

形振り構わず着流しの袖で血を拭い、切れ味を戻す。

久し振りに思い出す、人を斬る感触。

怖気走るその記憶を、頭を振って掻き消す。

今は感傷に浸っている暇はない。

任務を。

勅使河原 古奈美警護の任務を果たす事が、維新政府からの命令。

息を切らせながら階段を駆け上がりつつ。

…それだけか?

彼は自問自答する。

任務だから急ぐのか?

そうではないだろう。

ここはヒノモトではない。

感情を押し殺し、真意を偽る必要はない。

自警団の団長を!

天神学園で共に過ごす仲間を!