しかし、そんなご都合主義なダンドリッジでも、どうにも我慢ならない事があった。

「和風建築?武家屋敷だと?ふざけるな!」

そう、橘家はかの名門、夕城邸の一角を住居としていた。

古くから伝わる剣術一派、夕城流の屋敷。

何の文句があろうかというほどの大きな武家屋敷だ。

だが。

「我慢がならん。吸血鬼が眠るのは、古びた洋館の薄暗い地下室の棺の中と相場が決まっている。大体にして、武家屋敷の何処に棺を保管するのだ」

「蔵とかあるから、そこでいいんじゃない?」

ベルが言うが。

「言語道断!茶箪笥や葛籠あたりと一緒に詰め込まれて堪るものか!日本昔話か!」

ダンドリッジさん激おこ。