「寝惚けてんじゃねえよ」

リュートもまた、拳を握り締める。

肩の痛みで力が入りづらい。

それでも固く握り締める。

「通り過ぎた道なんか、いちいち確認してられっかよ。曲がらずに進むって決めたんだ。通った道は気にしねえ」

「若さゆえの過ちという奴ですか」

微笑んだ後。

「っ!」

佐々木は突進してきた!

片手一本刺突!

俊敏なまでの身のこなしから繰り出す、何者をも貫く一撃は。

「何…」

リュートの掌によって受け止められた。

見れば、彼の掌は凍り付いている。

永久凍土のような、硬い氷に包まれている。

「グリフィノー拳闘術・氷の型!」

氷の精霊フラウを召喚しての、氷の障壁。

その掌を。

「非力な女の子利用しようとしてる奴が…」

佐々木の顔面に掌打として叩き付ける!

「俺に説教してんじゃねえやッッッッ!」