「あまり調子に乗っては駄目だなあ、リュート君」

着地して、佐々木は呟く。

「剣道三倍段って知っていますか?剣を持つ相手に素手で勝つには、相手の3倍の力量がなくてはならないという意味です。見た所…」

佐々木の糸目が微かに開く。

「君は私の3倍も強いようには見えませんがね」

「っっっ…」

肩を庇いながら立ち上がるリュート。

予備動作無しの拳を繰り出すが。

「遅い」

佐々木はそれを反転して躱しつつ、リュートの背中を斬りつける!

「ぐっ!」

痛みに呻くリュート。

「無理ですよ、リュート君」

佐々木は惚けた表情のまま言った。