「やれやれ…」

頬がこけ、痩せぎすで見るからに体が弱そうな外見の佐々木。

だが彼はリュートの拳を食らっても、何食わぬ顔で立ち上がる。

「顎が痛いですよ…何をするんですかリュート君」

「何すんだはこっちの台詞だ」

額に青筋を浮かべ、リュートは佐々木を睨む。

「おめぇ教師だろうが」

「それ以前に見廻組隊長です」

「でも教師名乗ってんだろうがっっっっっっ!」

屁理屈を捏ねるなと言わんばかりに、リュートが叫ぶ。

「教師ってのは、体張ってでも生徒守るもんじゃねぇのかよっ!何やってんだテメェッ!」

「私が守るのは幕府と、その新たな象徴となる古奈美姫だけです」

刀を握り直す佐々木。

「その古奈美も、殺そうとしてたんじゃねぇのかよっ!」

「言ったでしょう、守るのは『象徴となる古奈美姫だけ』です」

佐々木は切っ先をリュートに向けた。

「傀儡とならない姫様は、御命頂戴致します」