銃声は確かに耳に届いた。

愛刀・加州清光を手に、沖田は走る。

速い。

人が両の足で走る速度とは思えない。

高速歩法の一種、縮地を会得しているようだった。

階段を四段飛ばしで駆け登っていき。

「!」

彼は立ちはだかる男達に足を止められる。

「どこに行くね?維新政府軍志士・沖田 蒼次郎」

既に素性は割れている。

見廻組の密偵としての能力は、戊辰大戦の頃からよく知っていた。

この分だと、自警団の隊長達や天神学園の腕利き達にも足止めがされている事だろう。