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「いいですか、リュート君。それからこの場にいる皆さんも」

沖田は言う。

「勅使河原さんは、勅使河原幕府将軍・勅使河原 慶晃公の一人娘…立場的には姫ですが…くれぐれも真実は知らないふりをしていて下さい」

「何でだよ?別に古奈美が姫だろうが何だろうが、身分で避けたりなんかしねぇぜ?」

リュートは言うが。

「彼女が隠しているからです」

沖田は答えた。

「惑星ヒノモトでも、多くの民は姫の顔は勿論、将軍慶晃公の顔さえ知りません。要人故に暗殺の類を避ける為…同時に将軍や姫に関わる事で、巻き添えを食う事を避ける為です。こちらで言う所の無差別テロ、という奴ですか。自分が狙われる事で、同時に無関係の人間をも巻き込む事を、慶晃公や勅使河原さんは恐れています」

その為の身分秘匿。

その為の故郷からの逃亡。

古奈美は、自警団の面々にも、己の正体はバレていないと今も思っている。

「ですから」

沖田は言った。

「決して彼女が姫である事を、知っている態度は見せないで下さい」

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