吸血鬼は狡猾で策謀に長けた存在だ。

いつだって他者を欺き、謀り、策を弄する。

「そこで俺は考えた。ダンピールの子孫がツェペリに生まれた事を、なかった事にすればいい。天神の近しい者のみに伝え、後は内密にしておけばいい」

これを、ツェペリ一族の者のみの秘密としなかったのは、ヴラド自身の甘さか、優しさか。

ともかく、ヴラドは生まれてすぐのダンドリッジを橘の養子に出した。

ファミリーネームもタチバナと改める。

表面上はツェペリの吸血鬼ではない。

「無論子供騙しな策だ。知らぬ者が見ても、貴様と俺が血縁である事が一目瞭然なほど、俺達は似ているのだからな」