祖父殿は予知も出来ると見える。

そう笑いたい所だったが、経験則からならば、そう考えても不思議ではなかろう。

目の前のヴラドこそが、当の串刺し公その人なのだから。

15世紀のワラキア公国の君主、諸侯の権力が強かったワラキアにあって中央集権化を推し進め、オスマン帝国と対立したワラキア公ヴラド3世。

通称ドラキュラ公または串刺し公こそが、ヴラドの吸血鬼になる前の姿。

彼は人間の醜さも残酷さも知っている。

彼は吸血鬼の残忍さも恐ろしさも知っている。