「随分と過小評価されたものだな」

ダンドリッジは鼻を鳴らした。

「俺がおいそれと、どちらかの味方になり、不毛に殺し合いに付き合わされると思うか。俺が矮小な人間や吸血鬼の傘下に入ると」

「どちらかの傘下に入るならばまだいい」

ヴラドはダンドリッジを見る。

「貴様は俺の子孫。しかもダンピールだ。どちらにも屈せず、どちらにも与しはしない。戦ってでも逃げ延びるだろう。そして何れは逃げるだけでは抗し切れなくなり、考える」

ヴラドの赤い瞳が、見据えた。

「『いっそ滅ぼしてしまうか』と」

「っ」

息を飲むダンドリッジとベル。

「そして祖父以来の大殺戮を繰り返すのだ。人間と吸血鬼の軍勢を相手取り、夥しい数の血を流し、やがて貴様は『串刺し公の再来』と仇名される」