考えてもみるがいい。

吸血鬼の名門ツェペリ家の血筋。

しかも人間と吸血鬼の混血で、不死である吸血鬼を殺す力を持つというダンピール。

それもツェペリの血を受け継ぐダンピールだ。

誰もが考えるだろう。

『人間側に、或いは吸血鬼側に引き入れて戦力にしたい』と。

「簡単な事なのだ」

上体を起こし、薄く笑うヴラド。

「天神ほど優しい世界はない。言い換えれば、外の世界は邪悪に満ちているという事だ。天神に比べれば、という極論ではあるがな」