疲労の激しさに、片膝をつくダンドリッジ。

魔力残量は、確かに残り僅かだ。

もうヴラドの魔力を帯びた弾丸を抵抗(レジスト)する力も残っていない。

1発食らえばゲームオーバーだ。

「未熟な子孫よ、さらばだ」

ヴラドがトリガーに指をかける。

「万が一にも俺に勝てれば、語るべき事もあったが…それは貴様の代ではなかったという事。タチバナの吸血鬼として、次世代によい眷属を残す事だな」

「……」

静かに目を閉じるダンドリッジ。

その時。

「ダァァアァアァァアァアァアァン!」

甲高い娘の呼び声が、天神学園に響き渡る。

振り向くダンドリッジ。

ひしゃげ、壊れた天神学園の校舎内に、駆け込んでくるベルの姿があった。

同時に。

「!!」

ダンドリッジの肉体に急速に充填される魔力。

マスターであるベルが、魔力供給可能範囲内に近付いてきた事で、ダンドリッジの魔力が回復したのだ。