しかし。

目の前のダンドリッジを見る。

…酷く呼吸が荒い。

消耗も激しい。

肉体の損傷具合はヴラドの方が激しいが、ダンドリッジは魔力残量がギリギリといった様子だった。

魔力の最大値も、魔力のペース配分も、まだなっていない。

ここに来て、数々の戦闘経験を重ねたヴラドの老獪さが光る。

一撃の威力は、若き吸血鬼に敵わなくとも、戦闘経験と魔力の蓄積において、ヴラドに一日の長があったという事だ。

「惜しかったな、小僧」

脇腹の傷の再生も、7割が終了した。

これだけ治癒できていれば十分だ。

久方ぶりに面白き戦闘ではあったが、校舎修繕の手続きも早々にしなければならない。

「今度こそ終いだ」

好き勝手に飛び回らせていた愛銃二挺を手の内に呼び寄せ、ヴラドは銃口を向ける。