ティグル・グリフィノーは言った。

ダンドリッジはヴラドよりも強いと。

僅差ではあるが、ヴラドを上回っていると。

奴の言葉を信用する訳ではないが、ヴラドに挑む切っ掛けとするには十分だった。

全身に弾丸の雨を浴び、文字通り蜂の巣のような肉体となりながら、ダンドリッジは前進する。

前進して。

「っ!」

ヴラドの首を片手で摑む。

そのまま。

「きひひひひひひひ!」

不気味な笑い声と共に、壁に空いた穴から外へと躍り出る!

ここは天神学園最上階。

外に出れば当然転落する。

だが、ダンドリッジは風で広がったインバネスコートを、まるで蝙蝠の翼の如く利用して飛翔する!

「天神のバットマンの異名は伊達ではない」

ヴラドの首を摑んだまま、上昇し、旋回し、急降下するダンドリッジ。

人間の肉体では耐えられないほどの強烈なGを浴びせて、ヴラドを失神させようとするが。

「っっっ!」

そんなダンドリッジの背中に、弾倉1本分のカスール弾が全弾命中する!

「どんな位置から、どんな撃ち方をしようとも」

首を摑まれたまま、ヴラドは笑った。

「俺の呪いを施した弾丸は、必ず貴様に命中する」