プルプルと拳を振るわせるリュート。

この馬鹿兄貴、何ちゅう事をしてくれるのか。

「お兄ちゃんも、リュー君には強くなってほしいからねえ」

陽気に笑うな、馬鹿兄貴!

本人も知らないうちに、精霊術を使えるようにされていた改造人間リュート。

「やだなあ、人聞きの悪い事言わないでよ。副作用なんて何もないから、心配いらないよ?」

まぁ、天才肌のティグルの事だ。

大好きな弟を苦しめるような、抜かりのあるような事は一切しないだろうが。

「でね」

ティグルは人差し指を立てる。

「精霊を召喚するには、始動キーの為の呪文が必要なんだ。呪文は何でもいい。それが詠唱の代わりだね。それをリュー君自身が決めて、口にする事で、精霊が召喚できる」