「そっかあ、知らないかあ」

次の瞬間には、ティグルはにこやかな表情に戻っていた。

「ごめんね、いきなり声掛けて」

手を振って歩いて行くティグル。

冷や汗ダラダラで立ち尽くすヤンキーに。

「あの方は、お前のような粗暴な男が敵う相手ではないわ」

蔑むような眼差しを向け、アマリリスが嘲笑した。

「何してんのアマリリス、ほら、行くよ」

「あぁん、お待ちになって、ティグル様」

小走りにアマリリスはティグルを追う。