…そうティグルに伝えたのが、昨日の事だったのだが。

「…参ったな」

離宮、転移魔法陣の前。

大至急という事で戻ってきたティーダは、驚きと困惑の表情だった。

グリフィノー家の者ならば、誰でも起動させる事が出来る転移魔法陣。

しかし、そうそう自由に地球とミルトゥワ間を行ったり来たりするのも問題が生じる為、転移魔法陣は普段、ティーダやシオンの手でしか起動しないようにロックがかけられていた。

一定の魔力と、高度な術式を以ってしなければ解除できないロック。

ティーダやシオンの許可を得る事で、はじめてこのロックは解除できるのだが。

「解除の仕方をティグルに教えた事はなかったんだけどな…自力で術式を解読して解除したのか」

確かに起動した痕跡の残る転移魔法陣を見て、ティーダは半ば感嘆の声を上げていた。

彼がティグルの歳の頃は、こんな術式とても扱えなかったが。

「あいつは…」

ティーダは呟く。

「父さん…シオン・グリフィノー以来の勇者になるかもな」