「困っているようですね、ティグル様」

よく通る声が、離宮内の廊下に響く。

見れば、柱の陰にチビが腕組みして立っていた。

「誰がチビよ!理事長!」

白いドレスに薔薇のピンク色のタイツ姿の美少女が、顔を覗かせた。

「アマリリス」

ティグルが声を上げる。

「ご機嫌麗しゅう、ティグル様。お帰りなさいませ。お帰りを、首を長くしてお待ちしておりましたわ」

あれ。

リュートにゃ呼び捨てタメ口乱暴な態度の癖に、ティグルにゃ畏まって。

アマリリス、何か差ぁ付けてね?

「う、うるさいわね理事長!いちいちツッコむんじゃないわよ!」

何いっちょ前に頬染めてんの?

ははぁん、お前…。

「うるさいって言ってるのよ!」