「あっれえ?」

旅先から帰ってきたその足で、ティグル・グリフィノーは離宮内を歩き回る。

通りかかった侍女が、その様子に気付いた。

「ティグル様、お帰りなさいませ。ティーダ様は御一緒ではないのですか?」

「うん。父さんには話をして、リュー君の顔が見たくなったからって帰ってきたんだ。だけど…」

キョロキョロと周囲を見回すティグル。

「リュー君いないね。どこ行ったの?また稽古と称して荒野に出かけた?」

「それが…」

侍女は表情を曇らせる。

「私達も詳しくは聞かされていないのです。何でも、留学に行かれたとしか…」

「留学?」

ティグルは首を傾げる。