草履を履いた足をジワリジワリと進め、沖田は間合いを測る。

「土方さんに勝ったんでしょう?凄いなぁ…あの人に勝てる人がいるなんて、思いもしませんでしたよ」

その言葉に。

「随分惚けるのね、沖田さん」

返したのは古奈美だった。

「知っていますよ…貴方は本当は、既に副団長である土方さんを上回る技量を持っている…この天神学園に来て、こちらの世界の様々な流派の剣術を独学で学んでいくうち、貴方は自警団随一と言っていいほどの剣術を身に付けた。身に付けていながら、敢えて土方さんの下に甘んじている」

「だって、副団長なんて責任重大で面倒でしょ?」

笑う沖田。

「責任の重い役職に就くより、僕はリュート君みたいな強い人と好き勝手に戦える隊長職の方が好きですよ」