「俺はそうは思ってねぇ」

リュートは古奈美を見ながら言った。

「天神学園の事は、親父やオフクロからずっと聞かされていた。ウチの家系は天神学園の卒業生が多いからな。楽しいんだ楽しいんだって自慢話ばっか聞かされて、ムカつく半面、今回こっちに来れるって聞いて、ちょっと嬉しいのもあったんだ。それが…」

拳を握り締めるリュート。

「ガッカリじゃねぇか、こんなの。俺が聞いた天神学園と違う。親父やオフクロが楽しくて楽しくて仕方なかった天神学園を、俺も味わいてぇからな」

もう休憩は十分にとった。

リュートは立ち上がる。

「だから、俺は揉め事に首突っ込む。親父達が知ってる頃の天神学園に戻して、俺も目一杯楽しませてもらう。俺の都合でな」

「リュート君…」

古奈美は微笑む。