「気分を高揚させるじゃなくて!」

ベルはダンドリッジを睨む。

「他に何か思わないのっ?」

「む?」

見上げるベルを一瞥するダンドリッジ。

「あの建物には、まだ沢山逃げ遅れた人がいるのよ!」

「そうだな」

「みんなアンタみたいな不死身じゃないの!」

「別に俺も不死身ではない。太陽や流水や銀製の武器こそ克服したが、聖性の高い武器はそれでも…」

「不死身じゃなくても、火は熱いでしょ!焼かれると嫌でしょ!」

「……」

「そんな目に遭うのは、自分だったら嫌でしょ!」

「……」

ガシガシと頭を掻くダンドリッジ。

「牛乳瓶1本分だ」

「い、痛くしないでよねっ、痕が残るのも嫌だからっ」

そう言ってベルは後ろ髪を掻き揚げ、項を見せた。

その白い首筋に、プツリと牙を突き立てるダンドリッジ…。