刀を肩に担ぐ土方を前に、リュートは血を滴らせながら立ち上がる。

「大学部に所属してる奴でよ。やたらと横柄な、いけ好かねぇ野郎だよ」

「…何が言いたい」

「ソイツ、吸血鬼でな。知ってっか?吸血鬼って幻術も使えてな、相手に幻見せたり、錯覚を起こさせたり、催眠術の真似事も出来るらしいぜ」

「何が言いたいのかと訊いている!」

今度は大上段からの斬り下ろし!

これを。

「何っ?」

リュートは躱す事なく、バンテージを固く巻いた両手で受け止めた!

「躱すから変化されるんだ。止めちまえば、斬撃の軌道は変わらねぇ」

「笑止、剣客が剣だけと思うな!」

即座に蹴足がリュートの腹部を狙うが。

「!?」

リュートは土方の蹴りを、己の蹴りで払い除ける!

「格闘戦で、俺に勝とうと思うなよ?」

ニヤリと笑うリュート。

気が付くと、彼の右拳が床スレスレの位置から、土方の顎を狙う!

「ライジングドラゴンッ、ナッコォオォォオォオッ!」