引き戸の音を立てて、室内に入る。

「副団長土方 敏郎、一番隊隊長沖田 蒼次郎、戻りました」

「…ああ」

部屋の窓際、凭れ掛かって腕組みをした男が気だるげに返事をした。

「十番隊と原田が壊滅したそうじゃないか」

「ええ」

自警団にとっては歓迎される話ではないだろうに、沖田がニコニコ笑いながら言う。

「強かったですよ、あのリュートって留学生。ミルトゥワってとこは、OBのフェイレイ・グリフィノーの代から猛者揃いって聞いてましたけど、やっぱり凄いですね、ゆくゆくは勇者を名乗る人は」

「…奴は…リュート・グリフィノーは、勇者の称号を継ぐ気はないって話だ。祖国に残した兄に称号は任せ、自身は己の鍛錬に没頭している…OBの丹下某みたいな男だ」

「へえ、そうなんだぁ。そういう生き様もかっこいいなあ」

沖田は尚も微笑みを湛えたまま、呟いた。

「昔、この学園でやってたタイマントーナメントで、一手仕合ってもらいたかったなあ」