そう嘯くのは、この天神地区に存在する学園、その大学部に所属するダンドリッジ・タチバナだった。

天神学園学園長、ヴラド・ツェペリの血統を受け継ぐ由緒正しき吸血鬼。

その体には、高貴なる名門ユグドラシェルの血も流れている。

聖にして魔となった、ツェペリ家の誇り高きヴァンパイア。

いや、ダンピールという方が正しいだろうか。

ダンピールは東欧やロシアの伝説に登場する、混血の吸血鬼。

外見は普通の人間と変わらないが、不死である吸血鬼を殺す力を持つ。

また、吸血鬼を探知する能力も備える。

大抵は生まれてもすぐに死んでしまうが、成長した者は前述の能力を活かし、吸血鬼ハンターを生業とする事もある。

そんなダンピールに憧れるダンドリッジだったが、ここは多種多様な種族が共存する『種族の坩堝』天神地区だ。

吸血鬼ハンターなどという生業が成立する筈もなく。