頭をボリボリ掻きながら、部屋の玄関を出るリュート。

ちょうど外に出た所で。

「お」

リュートはお隣さんの古奈美と鉢合わせた。

「よっす、古奈美」

隣人付き合いは大切、という事で朝の挨拶。

だというのに。

「……」

古奈美は返事を返さない。

「古奈美?おっす」

「……」

「おい、おはよってば」

「……」

確かにリュートが視界に入っている筈なのに、挨拶しても返事しない古奈美。

おかしい、機嫌でも悪いのだろうか。

思いつつ、古奈美の出で立ちをしげしげと眺める。

地毛とは思えぬ金髪ロング、ビキニアーマー、超ミニスカに赤いロングブーツ。

「プ…プリティープリンセス…?…お、おっす…」

「あら、リュート君、おはようございます♪」

弾けるような笑顔で挨拶を返してくれる古奈美。

成程…今は『世を忍んでいない姿』の方という訳か。

(…めんどくせぇ…)