「華ちゃん」

誰かがあたしを呼ぶ声がした。


はっと目を覚ますと、3年生の井上くんが目の前でしゃがんでいた。


井上くんは、1年生の夏休みにみんなで夏祭りに行った帰りに、あたしのことを好きだって言ったひと。


「、、大丈夫?風邪引くよ」

「、、びっくりした」

「俺の方がびっくりしたよ。サボりに来たら華ちゃん寝てんだもん」

起こしてくれてありがと、と言って立ち上がったけど、

やっぱりもう一回井上くんの隣に座った。


「あたしも今日は全部サボる」


「お!いいね、じゃあ終わるまで一緒に居よっか」


10月、少し肌寒いけど、

井上くんと一緒に校舎の裏庭で2時間授業をサボった。