「もしもし中村です」


「、、、先生?」


「青山?どした?」



久しぶりに聞く先生の声は優しくて、
すぐにあたしだとわかってくれた。



「、、今日、帰ってくるんだよね、」

「夕方には着くよ。どした?」



電話越しの先生の声は、公園で泣いた日と同じだった。

でもあたしはもう先生の前で泣くことも出来なくて、
やっぱりなんでもない、と言って勝手に電話を切ってしまった。



本当は今すぐ帰って来て欲しい。


大きな手で頭を撫でて欲しい。


でも言えなかった。




ひとりぼっちの家でソファに座って、何も考えずに何時間も真っ暗のテレビを見つめた。