桜田中学校は進学校で、また、大都会のど真ん中にあるのに関わらず、自然も多く、桜のキレイな学校として有名だ。
もちろん、中学受験をしないと入れない。
小学校の友達と別れ、また新しい友達をつくらなければいけないので、最初は孤立してしまう子が居てもおかしくはない。
そして、未来もその一人だったのだ。
未来は小学校の頃から、内気な性格で本が大好きな女の子だった。小学校の頃から未来に話しかける子はいなかったから、花美に話しかけられた時、未来は目を見開いて驚いた。
「えっと…、その…合ってます…。」
(はっきりしない子だな…笑えば可愛いのに)
「私は花美。丘の上小から来たんだ~」
「あ、そうなんですね……えっと、私は原田小から…来ました」
「じゃあ、花美って呼んでね!私も未来って呼ぶね!よろしく!!あ、あと敬語やめよ!同級生なんだしさ。」
「あ…よろしくおね…よろしく!」
未来がニコっと笑った。
(やっぱり。笑ったら可愛いじゃん。)
「何話してんの~?」
他の子たちも花美の周りに集まって来た。
「ううん。別に。」
「ねえ、花美!それよりも見て~アイツ、イケメンじゃない?!!」
「あはっ、マジそれな。」
未来の耳に楽しそうな笑い声が聞こえてきた。
(私もあんなふうな友達ができるといいな。)