ああ、もう部長のせいだ。

「それは本当に南くんがかわいいからだよ」

そう言った部長に、
「その相手は私じゃなくてもいいと思います。

部長なんだから女の人は選びたい放題でしょう?」

私は言い返した。

「選びたい放題…うん、確かにね。

確かに、僕には選ぶ権利と言うものがあるね」

部長はそう言って私の頬に触れると、
「その中から、僕は南くんがいいと思ったから選んだんだよ」

唇を重ねてきた。

「――ッ…!?」

私が戸惑っていることに気づいていないと言うように、彼は唇を離した。

「南くんが魅力的だから、南くんが欲しいと思ったから、僕は選んだんだよ」

部長はいつくしむように言って、眼鏡越しの目を細めた。