わたしはゆっくりと顔を上げた。風で髪が頬にかかる。

康介と同じシャンプーの香りがする。

わたしを見る優也の瞳は何故か揺れていて、痛みをこらえているような表情をしている。

優也はたまに、こうやって悲しそうな顔をする。

康介みたいに素直じゃなくて、
翔太みたいに熱くなくて、
わたしみたいに冷たくない。

わたしはそんな優也が好きだ。

恋愛感情じゃないけど、守りたくなる。

あーたんとばあちゃん以外、守りたいと思った人はいなかった。