「康介。」

「お、おう。」康介は心なしかおどおどしている。

久しぶりに心が温かくなった。

くすぐったい気持ちになった。




「ありがと。」




わたしはそう言って、思わずふっと笑ってしまった。


康介は目を見開いて突っ立っていた。

その間抜けな表情にまた笑みが溢れる。

周りのみんなも驚いたような表情でわたしを見ている。

それがおかしくて、あははっと声を上げた。


「見てみてー!」

そう言ってかけてくる我が子を抱きしめると、初めて、喜びが湧き上がった。


「あーたん、大好き。」


そうつぶやいてあーたんの頬に口づけすると、ふわっと石鹸の香りがした。