「何か食べないと、体力つかないっすよ。」

隣ではあーたんがドーナツを頬張っている。どうやら毒は入っていないようだ。

だけどわたしはおかゆと向き合ってかれこれ30分。康介も呆れ気味だ。

「わたし、もう帰る。」

「いやいや、そんな身体で返せないっす。ほら、食べてくださいよ。」

くううううう。

わたしはおかゆをにらんだ末に、スプーンを握ってひとくち口に運んだ。
…!
っ…

『玲奈ちゃん。』

誰かがわたしを呼んでいる。

そんな風に優しく名を呼んでくれるのは、世界でたった一人しかいない…


『美味しい?』