「おばあちゃんになっても私をホタル祭りや長野に連れて来てくれる?」

私の横顔をじっと見つめていた。

「りつこ、だからお前をこうして連れて来たんだよ」

「ありがとう、ひろし君。私は幸せ者だよ。なんで今まで誰にも見つからずにこんな人が独りでいたのか不思議なくらいだよ」

「あはは、凹凸の組合せは一つでいいだろ。お前が現れるのを時間をかけて待ってただけだよ。その間、互いにいろんなことを学んで、丁度いいタイミングで出会うようになってたんだよ」

「そうだったね。私、ひろし君のその話も大好き。またあとで詳しく聞かせてね」

私の左手と彼女の右手の指がさらに強く絡んだ。

松本を過ぎ、目的地が目前だった。