目から大粒の涙が溢れた。夜景はかすみ、白い光の世界が揺れていた。

彼がすぐ後ろにいてくれる。何も言わずともここで再会できた。しかも予想もつかなかった事実を連れて。

りつこはしゃくりあげながら手を挙げて言った。

「先生!」

そして振り向きざまに彼の胸に飛び込んだ。

「行かないで・・・」

涙が止まらなかった。彼の背中にではなく、彼の胸の中にいた。