幸せの構図

右折すると一転、交通量の少ない狭い道だ。すぐに国道1号に出たがこれも青信号で横切って行った。左右にものすごい量の車が赤信号で停まっていた。

国道1号を横切ってすぐにりつこは左前方にただならぬ気配を感じた。その威圧的な正体を見た時に鳥肌が立った。暗闇の中に巨大なさらなる暗闇がそびえ立っていたのだ。

その圧倒的な存在感を再確認し、りつこが今向かっている先に抱いていたロマンティックな先入観はもろくも砕け散ってしまった。

「それにしてもでかい山・・・何もこんなに急にそびえてなくてもいいのに」

りつこはそのまま道成に車を進めたがアクセルの踏み込みはすっかり弱まっていた。