りつこのケータイを見つめるすーちゃんの瞳を見てりつこは言葉を失った。優しい笑顔の瞳から大粒の涙。その涙が海の光を受けキラキラと輝きながら頬をつたっていた

「なんて優しい笑顔なの・・・」

りつこは心なしか、もらい泣きをしてしまった。恐らくは様々な出来事が走馬燈のようにすーちゃんの脳裏をめぐり回っているのだろう。そしてその時々の大きく揺れる少女の心が再び彼女に重なり、今まで歩んできた人生と織りなしながらこぼれた涙。りつこはその波長をそのまま全身で受け止め、同調するように涙を流した。

りつこはすーちゃんを愛しく思えた。

「すーちゃん・・・」

思わず彼女の名前を呼んだ。

すーちゃんは優しくりつこを見つめた。

「ありがとう」

湘南の風が2人を優しく包んでいた。