りつこはひろし君が夜行列車で泣きながら食べたすーちゃんの筋子おにぎりの一説を語った。

すーちゃんは何も言わず再び海を見つめていた。その視線があまりにも遠く、りつこは話しの反応を伺うことができなかった。

りつこは続けた。ひろし君が大学在学中に背負った悔いやすーちゃんとの再会のこと。その時の思い。そして訣別の時。すーちゃんへの消えぬ思いに区切りをつけた20年以上の重みを伝えた。

さらにりつこはケータイを取り出ししばらく操作し、すーちゃんに彼の詩を見せた。